ウイルスセンター

マイクロプレート法を用いたウイルス分離について

当ウイルスセンターでは、皆さんから提出していただいた検体を材料に、ウイルス分離を行っております。

ウイルス分離について

ウイルスの分離とは、検体中に存在する特定のウイルスをつかまえてそれだけを増やすことです。

ウイルスは単独では増えることができません。ウイルスが増えるためには生きた細胞が必要です。そこでウイルスを生きた細胞に植えつける必要があります(ウイルス接種)。

生きた細胞として、動物やその卵を用いることがありますが、当施設では試験管内で飼っている特殊な細胞(培養細胞)を使用しています。

培養細胞の準備

培養細胞の準備

ウイルスにはさまざまな種類がありますが、それぞれのウイルスは、それぞれが好むある決まった細胞の中でしか増えることができません。

そのため、一つの検体から、複数のウイルスを想定し分離するためには、それに見合うだけの種類の培養細胞を準備し、それぞれに検体を接種する必要があります。

ウイルスセンターでは、6種類の培養細胞を96穴のマイクロプレート上に培養することにより、効率良くウイルスを分離しています。

このウイルス分離方法を、 マイクロプレート法と呼びます。

そのためには培養細胞を常に良い状態に保ち、ウイルスに対する感受性を損なわないように管理することが重要ですが、非常に高い技術が必要とされます。

検体の培養細胞への接種

検体の培養細胞への接種

準備した細胞に、 1件1件手作業で検体を植えていきます。

非常に手間がかかりますが、検査の精度をきめる重要な作業です。

写真のように、当センターでは安全性に配慮しながらセーフティーキャビネット内で作業しています。

ウイルス分離の判定

ウイルス分離の判定

ウイルスが細胞の中で増えだすと、細胞に特徴的な変化が見え始めます。
これを 細胞変性効果 (cytopathic effect; CPE) と呼びます。

ウイルスによって、 CPEをおこす細胞が違い、またその様子も異なります。

たとえばヘルペスウイルスでは数日でCPEが出現しますが、human metapneumovirusでは、2週間程度かかります。

マイクロプレート法では、6種類の細胞のうち、どの細胞に、どのような細胞変性効果が観察されたかで、増えたウイルスの種類がある程度判定できます。

この CPEの判定には、長い経験が必要とされます。

写真は、検体接種後の培養細胞の細胞変成効果を確認しているところです。

分離したウイルスの同定

分離したウイルスの同定

ウイルスの分離を 細胞変性効果 (cytopathic effect; CPE) で確認しても、厳密な意味でのウイルスの種類の判定まではできない場合があります(たとえば、インフルエンザウイルスの A型とB型の判別は、CPEだけでは困難です)。

そのような場合には、ウイルス分離の補助手段としてさまざまな試験をおこない、ウイルスの種類を確定していきます。この作業をウイルスの同定といいます。

同定方法には、ウイルスの特性を生かしたさまざまな方法があります。

写真は、ウイルス遺伝子の塩基配列を決定しているところです。

  • 赤血球凝集抑制試験:赤血球を凝集する性質を持ったウイルスについて、その性質を利用して、そのウイルスに対する抗体がこの反応を抑えるかどうかによって調べる試験
  • 中和試験:ウイルスの増殖がウイルスに対する抗体で抑えられるか(中和反応)を調べる試験
  • 遺伝子検査:ウイルスの特定の遺伝子の増幅 (PCR法)、あるいは遺伝子の塩基配列を決める検査

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