ウイルスセンター トップ >> ウイルスセンターの国際医療協力
ウイルスセンターは 20年以上にわたり、様々なかたちで国際医療協力を行ってきました。
ウイルスセンターの役割は大きく臨床ウイルス学研究と国際協力のふたつを柱としている。
その歴史は1963年(昭和38年)研究検査科内に沼崎義夫先生を創始者として本センターが発足したことに始まる。
そして早くも翌1964年には須藤らによる小児急性気道感染症からの本邦初のRSウイルスの分離とそれによる本邦におけるRSウイルス感染症の全貌解明の仕事がなされ、これを皮切りに、その後、以下に挙げる代表的な仕事をはじめ、臨床ウイルス学の分野において幾多の輝かしい研究実績を挙げてきた。
ウイルスセンターのもうひとつの機能である国際協力への貢献はこのころに始まった。
まず、1982年 南米エクアドルのJAICA(国際協力事業団)プロジェクトに当センターの田中明が1年間専門家として現地出張した。
1985年に国際協力の面で当センターに画期的な出来事があった。
当センターがWHOより「ウイルス性呼吸器疾患に関するWHO協力センタ−」としての認定をうけたのである。
当時のセンター長、沼崎(臨床研究部長兼務)はWHO西太平洋地域におけるウイルス性呼吸器疾患のコンサルタントとしてアジア各国に出張し、また各国から研修生を受け入れ、積極的にウイルス検査の技術移転を行った。
1989年アフリカのザンビア共和国で国際協力事業団の感染症プロジェクトが開始された。
これは、ザンビア大学にウイルス研究室をつくり技術指導をするものであったが、当ウイルスセンターはこのプロジェクトにおいて大きな役割を果たした。
まず、ザンビアからの長期研修生を受け入れ、技術指導を行った。研修生らは帰国後、現地のウイルス研究室で中心的役割を担い、現在も活躍している。
プロジェクト開始当初から沼崎、鈴木は毎年現地に赴き、研究室の立ち上げに尽力した。
また現地研究室完成後、ウイルスセンターの押谷、水田が現地に赴き、数年にわたり技術指導を行い、さらには沼崎が、定年退職後、自ら専門家として現地に赴き、そこで5年の長きにわたりプロジェクトの長として指導にあたり、ザンビア大学ウイルス研究室を確固たるものにした。
当研究室は現在もザンビア人による運営がしっかりと続けられ、南部アフリカでは、南アフリカを除けば唯一の信頼性のおける研究室として高い評価を得ている。
機器資材も技術水準も日本の一般研究室にひけをとらず、欧米の研究者は当研究室をアフリカにおけるエイズ研究の拠点としての役割を期待している。
WHOより「ウイルス性呼吸器疾患に関するWHO協力センター」としての認定をうけた後、各国から研修生を受け入れ、積極的にウイルス分離・同定の技術移転を行ってきました。
西暦 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エクアドル | 2 | 1 | 3 | |||||||||||||||||
中国 | 5(3) | 1 | 2(1) | 8 | ||||||||||||||||
マレーシア | 1(1) | 1 | ||||||||||||||||||
フィリピン | 2(2) | 1 | 3 | |||||||||||||||||
韓国 | 1 | 1 | ||||||||||||||||||
ザンビア | 3(3) | 3(3) | 2(2) | 2(2) | 1 | 4(3) | 1(1) | 16 | ||||||||||||
中国 | 1 | 1 | 1 | 3 | ||||||||||||||||
合計 | 35 |
WHOやJICAとのプロジェクトとして、呼吸器感染症の研究および研修を行ってきました。
対象国 | 対象機関 | 事業主体 | 期間 |
---|---|---|---|
エクアドル | NIH | JICA | 1981〜84 |
中国 | 首都児科研究所 | WHO | 1986 |
中国 | 生物製品研究所 | WHO | 1986〜87 |
中国 | 上海第一人民病院 | WHO | 1986〜87 |
中国 | 広州児童医院 | WHO | 1988 |
中国 | 白求恩医科大学 | WHO | 1990〜91 |
中国 | WHO | 1990 | |
マレーシア | 医学研究所 | WHO | 1986〜87 |
韓国 | NIH | WHO | 1989 |
ザンビア | ザンビア大学教育病院 | JICA | 1989〜2000 |
WHOやJICAの要請により、国際協力活動に協力しています。
活動時期 | 氏名 | 活動事項 | 事業主体 |
---|---|---|---|
1982年 | 沼崎義夫 | エクアドル短期出張 | JICA |
1982〜83年 | 田中明 | エクアドル長期出張 | JICA |
1985年 | 沼崎義夫 | WHO呼吸器感染症コンサルタント | |
1985年 | 沼崎義夫 | 中国 | フィリピン短期出張 |
1994年 | 沼崎義夫 | ザンビア短期出張 | JICA |
1994年 | 鈴木宏 | ザンビア短期出張 | JICA |
1995年 | 沼崎義夫 | ザンビア、ケニヤ短期出張 | JICA |
1995年 | 鈴木宏 | ザンビア、ケニヤ短期出張 | JICA |
1995年 | 鈴木宏 | フィリピン短期出張 | JICA |
1991〜94年 | 押谷仁 | ザンビア長期出張 | JICA |
1992〜95年 | 水田克巳 | ザンビア長期出張 | JICA |
1995〜2000年 | 沼崎義夫 | ザンビア長期滞在 | JICA |
1997年 | 水田克巳 | ザンビア短期出張 | JICA |
1997〜98年 | 西條政幸 | ザンビア長期出張 | JICA |
2003年 | 鈴木 陽 | WHO・SARS対策チーム | フィリピン短期出張 |
2004年 | 鈴木 陽 | WHO・高病原性トリインフルエンザ対策チーム | フィリピン短期出張 |
2004年 | 西村 秀一 | ザンビア短期出張 | JICA |
ウイルスセンターが国際医療協力活動を通して学んだことについて、論文として発表してきました。
Copyright © 2005 Virus Research Center All Rights Reserved.