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目次

第15回 みちのくウイルス塾(2016年7月16日(土)〜17日(日)開催)

今年も、みちのく塾の季節がやって来ます。この塾も早いもので、今回で15回目の開催です。

講師は例年どおりそうそうたるメンバーが、わかりやすく古典的な話から最先端の話までカバーします。

みなさま、この夏の週末、ウイルス学の夏期講習はいかがでしょうか?

以下は講師紹介と今回の講義の予告です。

第15回みちのくウイルス塾 聴講のツボ

1.日本大学薬学部上席研究員 本田 文江 先生
特集(第2回) ウイルスを観る (1) 光とウイルス・・・「インフルエンザウイルスの光ピンセットによる人為的感染操作」

先生はウイルスの遺伝子遺伝子複製の専門家ですが、ほかに私たちが思いもよらないような技術でウイルスの細胞への感染の解析をなさっておられます。それが、「光ピンセット」によるインフルエンザウイルスのトラップとそれによる1個1個のウイルスの人為的感染操作です。「そんなことできるの?」「そう、できるんです」実際の動画の提示も含め、皆さんに興味を持ってもらえる話にしたいと張り切っておられます。「それで何をやるの?」・・・そこが一番大切なところで・・・講義でのお楽しみです。

「特集(第2回) ウイルスを観る」について:この企画は3年前にもあり、今回で2回目です。前回の充実した内容を、ぜひ本塾ウェブサイトでご覧ください。

2.京都大学ウイルス研究所 ヒト・レトロウイルス研究施設講師 佐藤 佳 先生
「ヒトとエイズウイルスのせめぎ合い:動物モデルを用いた研究と、ウイルス・宿主の進化的相互作用」
・・・これまで見てきたこと、やってきたこと、これからやりたいこと 

エイズの原因ウイルスHIV-1は、ヒトにのみ感染するウイルスのため、その感染病態の研究には困難を伴うため、動物モデルが必要でした。そこで先生は「ヒト化マウス」という新たな小動物モデルをつくり、生体内でのHIV-1の複製や感染病態などの研究をなさっています。それを可能な限り分かりやすく紹介してくださるそうです。先生のウイルス学との出会いは、先生が東北大学農学部3年生のときに参加した第1回「みちのく塾」だったそうです。そのときから14年、立派なウイルス学者になられ、来てくださいます。
後輩の学生さんたちに応援メッセージを送りたいと、張り切っておられます。

3.岡山大学資源植物科学研究所 教授 鈴木 信弘 先生
「これでもウイルス?」

先生は、菌類のウイルスハンティングを進めているうちに、ウイルスの「常識」を打ち破るウイルス(ヤドカリウイルス)を発見なさいました。このウイルスは1本鎖のRNAゲノムを持ち複製酵素をコードしているのに、ウイルスの殻をつくるための蛋白質をコードしていないのですが、なんと共感染している他の2本鎖のRNA遺伝子を持つヤドヌシウイルスにその殻を借りて、あたかも2本鎖RNAウイルスのようにふるまうそうです。この常識破りのヤドカリ・ヤドヌシウイルスの例のほか、他の「変わり者ウイルス」の例を紹介してくださいます。ウイルスの多様性をお楽しみください。
鈴木先生には4年前にも講義をお願いし、そのときは「目立たないウイルス」「守り神となるウイルス」というお話でした。そしてなんと、鈴木先生も東北大学農学部のご出身だそうです。

4.自治医科大学小児科学講師/厚生労働省健康局参与 田村 大輔 先生
「ウイルス学者、行政官そして一小児科医・・・複数の視点から見る国際的感染症」

小児科医でありウイルス学者である先生は、大学(基礎)⇒WHO⇒CDC⇒厚生労働省⇒大学(臨床)と所属と立場を変えてウイルス感染症に取り組まれ、現在は臨床に戻っておられ、当塾には7年前にお呼びして、インフルエンザの話をしていただいています。インフルエンザ、デング、エボラ、MERS、Zika、世界の感染症は日々変化しています。それらの対策には、基礎と臨床のセンスが必要です。その両方を兼ね備え、いわば対応のど真ん中におられた先生から、先生がCDCで見つけた世界初4剤耐性インフルエンザウイルスから厚労技官の仕事まで、幅広いお話が聞けるものと思います。

5.京都大学ウイルス研究所ウイルス微細構造研究領域 教授 野田 岳志 先生
特集 ウイルスを観る(2)「インフルエンザウイルスの転写機構を視る」 

先生には、3年前にもご登壇いただきそのときにはウイルス粒子へのゲノムのパッケージングの話をしていただきました。(第12回みちのく塾
聴講録「目で観るインフルエンザウイルスの増殖メカニズム」参照)今回はその後のもうひとつのお仕事の話です。

インフルエンザウイルスのゲノムRNAは、ウイルスRNAポリメラーゼやNPとともにRNP複合体を形成します。RNP複合体はゲノムRNAの転写に必須ですが、転写の際にRNP複合体にどのような構造変化が生じているか、まったくわかっていません。先生は原子間力顕微鏡やクライオ(凍結)電子顕微鏡といった最先端の電子顕微鏡技術を用いて、転写中のRNP複合体を視覚的に詳細に解析しておられます。まさに、第1回「ウイルスを観る」の「その後」です。演題名にある漢字が「観る」ではなく「視る」になっていて、先生の心意気が伝わります。

6.国立研究開発法人産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門
上級主任研究員 小椋 俊彦 先生特集 ウイルスを観る(3)
「新規の誘電率顕微鏡による溶液中のウイルスや生物試料の直接観察」

スルメより生イカ!通常の電子顕微鏡による観察は、電子線で見るため解像度は良いのですが、干上がった試料を観察しますので、いわばイカを観るのにスルメを観ているようなものです。やはり生きているイカを観察したいものです。生きたイカでなくとも、少なくとも釣り上げたばかりの新鮮なイカを見たいと思いませんか?その夢を実現しているのが、先生の開発したこの技術です。先生の誘電率顕微鏡は、溶液中でのそのままのウイルスの姿や生物試料の様子を観察することが可能であり、分解能も向上しており現在10ナノメートル・レベルとのことです。理論的には、将来的にウイルスの感染や出芽のリアルタイムでの動的観察も、夢ではありません。講義では、先生の方法によるウイルスの観察像や、様々な生物試料の観察結果をお見せいただくことになっています。スルメと違った生イカの観察を楽しめるはずです。

ウイルスについて知りたい方はどなたでも参加できます。大学院生、大学生、医療関係者はもちろん、高校生、予備校生や一般の方のご来聴も歓迎です。
講師にはできるだけ分かりやすい話をお願いしてあります。
飛び入り参加も可能です。

宿泊場所が必要な場合は、仙台医療センター地域研修センター内の宿泊施設が利用可能です(無料、先着順)。ただし、相部屋となります。

お問い合わせや宿泊施設の利用希望は、下記までどうぞ。

連絡先:仙台医療センター・ウイルスセンター 西村秀一

Tel & Fax: 022 - 293 - 1173  E-mail: 113-vrs.center@mail.hosp.go.jp

〒983-8520 宮城県仙台市宮城野区宮城野二丁目11番12号
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター内
直通電話:022-293-1173  ファックス:022-293-1173   電子メール:113-vrs.center@mail.hosp.go.jp