ウイルスセンタートップ >> みちのくウイルス塾トップ >> 第14回みちのくウイルス塾 >> 第14回みちのくウイルス塾の様子
2015年7月18、19日の2日間にわたって行なわれました今年の夏の学校『みちのくウイルス塾』も、おかげさまで盛況のうちに終了いたしました。延べ133名もの参加があり、講義の後、会場からの活発な質問に先生方が丁寧に答えるという、いつもながらの熱気に満ちた会になりました。
今回は試みとして、毎年恒例のおさらいクイズや、学生さんたちの活発な質問を呼び起こす目的で一昨年から加わった「ベストクエスチョン賞」も初日と2日目に分けて行い、また後者の審査には東北でご活躍の二人の大学の先生方にお願いしました。
この会の成功は、ひとえにみなさま方の暖かいご支援の賜物です。ご協力いただいた方々に、この場を借りて感謝申し上げます。皆様、来年もふるってご参加ください。
なお、会のようすや講義内容を聴講者がわかりやすく解説した聴講録、講義に使用したスライド等も掲載しておりますので、こちらの方もよろしくお願いいたします。
仙台医療センター 西村秀一
岩手医科大学微生物学講座教授 村木 靖 先生
BQA(Best Question Award)の受賞者は、学部学生または大学院生を対象としました。「ウイルス塾」の名にちなみ、ウイルスの病原性(発症機構)に関連する質問の中から、最も基礎的でありながら重要なものを選びました。
「血管透過性の亢進」 がデングウイルスの基本的な病態であるという講義内容を受け、「ウイルスが血管内皮細胞に感染するのか?またはサイトカインの異常な分泌のような機序を考えるべきか?」という質問をした山形大学の岡本君の質問は、ウイルスの病原性の本質に迫る良い質問でした。
山形大学医学部医学科3年 岡本 大輝 (おかもと ひろき)君
非常にわかりやすい講演ありがとうございました、山形大学の岡本と申します。
質問をさせていただきたいのですが、はじめの方のスライドで、デング出血熱では血管透過性が亢進すると書いてあったのですが、これはウイルスが血管内皮に直接感染することで血管透過性を亢進させるのでしょうか?それともサイトカインを介して血管透過性を亢進させるのでしょうか?
血管透過性が亢進するのはサイトカインとかケモカインによるものです。
では、サイトカインやケモカインを阻害する薬剤を用いれば血管内皮の透過性亢進を抑制させることができるのでしょうか?
そうですね、そういう薬を開発すればできるようになるでしょうね。
山形大学医学部感染症学講座教授 本郷 誠治 先生
秋田大学医学部の丸藤雅大君の「Multiple sclerosisのマウスモデルでタイラーウイルスに感染したマウスの脱髄の機序に関して、ウイルス感染したための直接的な細胞変性効果なのかそれとも免疫学的な影響によるのか、もし免疫学的な機序ならば髄鞘とウイルスの抗原性が似ているのか?」という質問は、ウイルス学的、免疫学的な理解の上になされたすばらしい質問であった。
(大原先生のご講演は、当初のご予定では野兎病の歴史と今日的意義の話で、ご自分の関わってきたタイラーウイルスの研究は、今回はパスするはずであったが、野兎病の話がひと段落ついたあとの時間で、おまけとしてタイラーウイルスの研究もお話してくださったのだった。大原先生の講演に対する質問としては、みなの意表をついた感じではあったが、それでもしっかりした質問で、多くの人が驚いたのでした。 西村)
秋田大学医学部4年 丸藤雅大 (がんどう まさひろ)君
マウスにタイラー脳脊髄炎ウイルスを感染させることによって、髄鞘が破壊され多発性硬化症のモデルマウスが作成されるとのことでしたが、この反応はウイルスがオリゴデンドログリアに感染して髄鞘を破壊するために起こるのか、それともウイルスに対する免疫応答の結果生じるものなのでしょうか。また、ウイルスとオリゴデンドログリアの抗原性が類似しているため髄鞘が破壊されるということも考えられるのでしょうか?
現在はウイルス感染によって惹起されたT細胞性の免疫応答によって髄鞘が破壊されるとする説が、主流である。また、ご質問のようにタイラーウイルスと髄鞘のオリゴデンドログリアの抗原性が類似しているため反応が起こると考える研究者もいる。
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