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当科では消化器癌に対する手術を中心とした診療を行っていますが、外科的治療を必要とする良性疾患にも対応しております。当科の特徴としては、消化器癌の中でも治療が難しい食道癌や肝臓癌、膵・胆道癌などの症例が多いことがあげられます。当科は外科専門医修練施設および消化器外科専門医修練施設はもちろんのこと、日本肝胆膵外科学会高度技能認定施設、日本食道外科学会認定施設等も取得しており、各々の専門医が担当して難易度の高い手術も積極的に行っております。
緊急の患者さんの受け入れについては、当科では断らないことをモットーとしております。急性胆嚢炎、急性虫垂炎、消化管穿孔性腹膜炎などの急性炎症性疾患やヘルニアの嵌頓など緊急の対応が必要な疾患についても積極的に受け入れ、患者さんの状態に応じて緊急手術を行っております。また、当院救急科が外傷患者を多く受け入れていることもあり、外傷手術も数多く実施しております。
侵襲の少ない(=患者さんに優しい)腹腔鏡手術については、いまや全手術症例の半数以上を占めるようになっています。虫垂切除術、胆嚢摘出術、鼠径ヘルニア根治術などは腹腔鏡手術が標準となっております。胃癌や大腸癌においては早期癌のみならずステージの進んだ症例にも腹腔鏡手術を実施しております。また、肝切除術や膵切除術においても腹腔鏡手術を積極的に取り入れており、肝胆膵手術においても術後入院期間が大幅に短縮されております。このような低侵襲手術の積極的導入により、患者さんのQOL向上に大きく寄与しております。
また、近年は手術支援ロボット(da Vinci:ダヴィンチ)を用いた手術(ロボット手術)の保険適応も拡大されてきております。消化器外科領域では直腸癌に対して端緒が開かれましたが、胃癌に対する胃切除や、結腸癌に対する結腸切除もロボット手術が適応できるようになりました。今後さらに膵切除術におけるロボット手術導入を新たに検討しています。従来ダヴィンチは旧型(Si)1台のみの運用でしたが、昨年末より新型(Xi)を2台目として整備し運用を始めているので、患者さんをお待たせすることなくロボット手術を行うことが可能となりました。また、ロボット手術を指導する資格を取得したスタッフも充実しており、若手への指導体制も整っております。
患者さんの入院期間短縮には当院のリハビリテーション科の協力も欠かせません。理学療法士(PT)によるリハビリのサポートはたいへん充実しており、術後のADL回復に一役買っております。また、廃用の進んだ患者さんに対しても言語聴覚士(ST)による嚥下訓練により、経口摂取可能となって元気に退院される患者さんも増えております。
当院では泌尿器科疾患や婦人科疾患を合併する消化器疾患に対しても該当科と共同で手術できるという利点があり、特色の一つと言えます。また、難治性の癌に対しては、手術療法のみならず、腫瘍内科や放射線科の協力を得て集学的治療を行っております。
当科では、胃癌や大腸癌など消化管の悪性疾患、および肝胆膵領域の悪性腫瘍を主に手術の対象としておりますが、胆嚢結石症や鼠径ヘルニア、虫垂炎など発生頻度の高い疾患に対しても、適切な治療を行っていることは言うまでもありません。更には炎症性腸疾患や慢性膵炎などの稀な疾患に対しても、外科手術を含む適切な治療を実施しております。
緊急手術は年間100件を超え、胆石胆嚢炎や虫垂炎などの他、急性腹症や多発外傷も外科的治療の対象となることがあります。
当科の症例は重度の併存症(心不全、腎不全、など)を有する重症例であることが多いという特徴がありますが、麻酔科と集中治療室の協力を得て、患者さんに適切な医療を施すべく果敢に手術に挑んでいます。
COVID-19は2023年5月に2類相当から5類相当へ格下げにはなったものの、その影響により手術件数の伸びはいまだ抑えられているのが現状です。その一方で、臨時手術への対応などを積極的に行っているため、減少幅は最小限にとどまっていると考えております(表をご参照ください)。
表に示す如く、結腸・直腸癌に対する手術のみならず、手術全体に占める腹腔鏡手術(ロボット手術を含む)の割合は半数を越えており、患者さんに優しい診療を心掛けている当科の方針の表れだと考えております。
分野 | 疾患 | 症例数 | 備考 |
---|---|---|---|
上部消化管 | 食道癌 | 5 | |
胃癌 | 48 | ||
胃GIST、等 | 7 | ||
十二指腸癌・小腸癌 | 8 | ||
胃・十二指腸潰瘍穿孔 | 6 | ||
下部消化管 | 結腸癌 | 68 | |
直腸癌 | 39 | ||
虫垂炎 | 50 | ||
憩室炎、直腸脱、内痔核、等 | 19 | ||
肝胆膵脾 | 原発性肝癌 | 10 | |
転移性肝癌 | 18 | ||
肝内結石・巨大肝嚢胞、等 | 2 | ||
遠位胆管癌・乳頭部癌 | 2 | ||
胆嚢炎、胆石症、胆嚢腺筋症、胆嚢ポリープ | 92 | ||
胆嚢癌 | 1 | ||
膵癌 | 25 | ||
上記以外の膵腫瘍 | 1 | ||
急性膵炎・慢性膵炎 | 2 | ||
肝硬変、脾機能亢進症、その他の脾腫 | 1 | ||
後腹膜腫瘍 | 1 | ||
特発性血小板減少性紫斑病 | 1 | ||
ヘルニア | 鼠径ヘルニア | 54 | 大腿ヘルニア含む |
腹壁ヘルニア | 11 | ||
急性腹症 | 腹部外傷 | 11 | |
汎発性腹膜炎、虚血性腸炎、等 | 19 | ||
イレウス | 腸閉塞症 | 26 |
分野 | 術式 | 全症例数 | 腹腔鏡手術数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
上部消化管 | 食道亜全摘術 | 5 | 4 | 胸腔鏡手術 |
幽門側胃切除術 | 29 | 2 | ロボット手術:21 | |
胃全摘術 | 13 | 0 | ロボット手術:73 | |
噴門側胃切除術 | 3 | 0 | ロボット手術:8 | |
胃部分切除術、など | 3 | 0 | ||
胃・十二指腸潰瘍穿孔手術 | 6 | 2 | ||
胃瘻・腸瘻造設術 | 15 | 3 | ||
下部消化管 | 結腸癌手術 | 68 | 42 | ロボット手術:15 |
その他、結腸手術 | 10 | 4 | ||
直腸癌手術 | 29 | 10 | ロボット手術:17 | |
その他、直腸手術 | 4 | 4 | ||
人工肛門造設術・閉鎖術 | 33 | 4 | ||
虫垂切除術 | 50 | 50 | ||
肝胆膵脾 | 肝切除術(亜区域以上) | 5 | 2 | |
肝切除術(部分切除) | 23 | 18 | 外側区域切除含む | |
肝門部胆管癌手術 | 1 | 0 | ||
胆嚢摘出術 | 92 | 92 | ||
総胆管切石術 | 1 | 1 | ||
胆嚢癌手術 | 1 | 0 | 何れも膵頭切除は伴わず | |
膵頭十二指腸切除術 | 17 | 0 | うち門脈合併切除:4 | |
膵尾側切除術 | 10 | 5 | ||
膵全摘術 | 1 | 0 | ||
膵中央切除術 | 1 | 0 | ||
脾摘出術 | 1 | 1 | ||
ヘルニア | 鼠径ヘルニア根治術 | 54 | 39 | 大腿ヘルニア含む |
腹壁瘢痕ヘルニア根治術 | 11 | 7 | ||
イレウス | 癒着剥離・腸管切除 | 26 | 8 | |
急性腹症 | 外傷手術(腸管切除、等) | 11 | 0 | |
急性腹膜炎手術 | 21 | 5 | ||
その他 | 試験開腹、リンパ節生検、など | 46 | 15 |
当科では、胃癌、大腸癌や胆石症など比較的ポピュラーな疾患はもとより、高難度手術を要する食道癌や肝胆膵の悪性疾患に至るまで様々な疾患に対応可能です。外科手術以外の治療法においても、それぞれの疾患に対する専門医がおり、相互に協力できる体制にあることが当院の特徴と言えます。
高齢の患者さんでは循環器、呼吸器、神経・筋疾患、骨疾患、精神疾患など多彩な併存症を有することが多く、ハイリスクの患者さんに手術を行わなくてはいけない場合が少なからずありますが、当院では各領域の専門医の協力を得て安全に手術を乗り切ることができるよう努力しています。また、リハビリテーション部門も充実しておりますので、術後のリハビリはもちろん、がんリハビリ、呼吸器リハビリなど様々な対応が可能です。重度の合併症を有する高齢の患者さんでも適切に対応しますので、遠慮なくご紹介ください。
先生方からの患者紹介が円滑に進むように、当科ではホットラインのシステムを常設いたしました。胃癌の患者紹介における「胃がんホットライン」の開設が先生方の好評を得たことを受けて、大腸癌や肝胆膵の悪性疾患の患者さんも素早くご紹介いただけるようにホットラインのシステムを整備いたしました。
先生方にご不便をおかけせずに患者さんを迅速にご紹介いただけるよう、今後も様々な工夫を続けていきたいと存じます。
なお、患者さんを緊急にご紹介いただく場合は、(病院の代表番号経由で)外科外来に直接お電話ください。新患担当医師が適切に対応いたします。緊急の患者さんの受け入れについては、当科では断らないことをモットーとしておりますので、まずはご一報ください。宜しくお願い致します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は様々な規制が緩和されてきておりますが、パンデミックとなった2020年以降は全国的に猛威を振るい、多くの人々に影響を与えてきました。その間、我々外科医が感じたことは、「進行癌が増えているな」ということでした。
COVID-19の感染を恐れて、いわゆる医療機関への「受診控え」をする方が多くなり、早めに受診していれば「早期癌」で見つかっていたかもしれない悪性疾患の進行を許してしまった可能性があります。「進行癌」として見つかった悪性疾患は、他臓器に転移していたり、手術で取れなくなっていたり、手術で取れるとしても大きな手術が必要で身体に負担がかかったり、ということで、「早期癌」に比べて治療が難しくなることは避けられません。
皆様におかれましては、がん検診のお知らせが役所から届きましたら、ぜひ検診を受けていただきたく存じます。また、何らかの身体の異常を感じましたら、ぜひためらわずにお近くの医療機関を受診し、診察・検査を受けていただきますようお願い致します。そして、精密検査や手術が必要な疾患が見つかってしまった場合は、ぜひ当院を選んでいただければと思っております。宜しくお願い致します。
当科のスタッフは専攻医を除いて全員が外科専門医を取得しております。更にほとんどの者が消化器外科専門医まで取得しており、様々な手術に対応できる能力を有しております。特に消化器外科としては、上部消化管・下部消化管・肝胆膵それぞれの疾患の専門医を擁して診療に当たっており(表をご参照ください)、より高度な医療を提供いたしております。
2020年7月に医長として加わった林 洋毅は日本肝胆膵外科高度技能専門医であり、同年10月にやはり医長として加わった小山 淳は日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)の資格を有しております。2021年4月には更に東北大学総合外科から内視鏡手術を得意とする舘 達之が異動となりました。戦力は大幅にアップしております。
卒業年 | 平成2年 |
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専門分野 | 消化器外科 肝胆膵外科(特に膵臓外科) |
専門医資格等 | 東北大学臨床教授、日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、日本消化器病学会専門医、日本がん治療認定医、日本膵臓学会認定指導医 |
名前 | 卒業年 | 職名 | 専門分野 | 専門医資格等 |
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手島 伸 | 平成元年 | 総合品質管理推進部長 外科医長 |
消化器外科 (主に食道、 胃、腹腔鏡) |
日本外科学会専門医・指導医 日本消化器病学会専門医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本食道外科専門医 日本がん治療認定医 |
林 洋毅 | 平成9年 | 外科医長 | 消化器外科 肝胆膵外科 |
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本消化器病学会専門医・指導医 日本膵臓学会認定指導医 日本胆道学会認定指導医 日本がん治療認定医 TNT研修会修了 |
小山 淳 | 平成9年 | 外科医長 | 消化器外科 内視鏡外科 |
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸) TNT研修会修了 検診マンモグラフィ読影医 ダヴィンチコンソールサージャンcertificate取得 |
湯目 玄 | 平成15年 | 外科医長 | 消化器外科 内視鏡外科 |
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 日本がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医 日本食道学会食道科認定医 ダヴィンチコンソールサージャンcertificate取得 ロボット支援手術認定プロクター(胃) |
舘 達之 | 平成16年 | 外科医師 | 消化器外科 肝胆膵外科 内視鏡外科 |
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 日本内視鏡外科学会技術認定医(膵臓) 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医 日本がん治療認定医 消化器がん外科治療認定医 |
染谷 崇徳 | 平成19年 | 外科医師 | 消化器外科 内視鏡外科 |
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医・指導医 消化器がん外科治療認定医 TNT研修会修了 日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸) ダヴィンチコンソールサージャンcertificate取得 |
大島 有希子 | 平成19年 | 外科医師 | 消化器外科 内視鏡外科 |
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医 |
海野 裕一郎 | 平成25年 | 外科医師 | 消化器外科 | 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 |
阿久津 諒 | 令和2年 | 外科専攻医 | 一般外科 | |
大槻 俊文 | 令和2年 | 外科専攻医 | 一般外科 | |
石塚 滉 | 令和4年 | 外科専攻医 | 外科一般 |
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